なんでみんな燃えちゃうのか

 



えー、というわけで、「note に移行します」と言ってから3ヶ月も経たぬうちに出戻りです。まあ、なんとなく予測できていた気がしなくはないですが…

note... の方も、完全に撤収したわけではないのですが、運営会社関連でいろいろ続きすぎて、今回の件が決定打となり、さすがにこのまま何事もなかったかのように書き続けるのはしんどいな、と思い、少し離れることにした次第です。

(書くまでもないことですが、私は別に、ホームレスについて気安く書くな!とか言うつもりは毛頭ないです。確かに彼らの創意工夫には目を見張るものがあるかもしれませんし、ポジティブに、ポップな風味で明るく書き出す試み自体が悪いとも思いません。

が… あの、「自分たちとは関係ない世界を覗き見るドキドキ☆」みたいなノリ、そして人生ゲーム制作のくだりで心のシャッターがガラガラピシャーンと閉じました… あの無邪気さがグロテスクすぎて無理。本当に無理。そしてそれに授賞した運営会社があり得ねえと思ったので離れる決意をしました。いろんな考え方、捉え方があるとは思いますが、少なくとも私は無理と思いました。)


で、なんかここ最近、以前にもまして炎上案件が増えてる気がしたのです。

一番最近では、アツギ。その前はタカラトミー。

↓これを見ると、もう5年くらい前から繰り返し、各企業がやらかしてきたことがわかります。(元画像には「フェミニストの圧力リスト」とありますが、先日のタカラトミーの件同様、フェミニズムとかそれ以前の問題では…?という件もありますし、「お偉いさんが集まって決めたのが、よりによってそれ…?」と突っ込みたくなる案件も多い)

(ていうか、うまく貼れてないね…↓)


https://twitter.com/0721_gg/status/1323449042240598016



で。単純に不思議なのが、「どうしてこんなに次々と炎上案件がスパークしまくるのだろうか」ということです。

Brighture の松井さんも先日メルマガで書いていた通り、ネットがレバレッジ性の高いツールだから、というのはまずあると思います。いったん火がつくと、燃え広がるのが早い。ネットが無かった時代にはありえなかった圧倒的なスピードと拡散力です。

あとはもちろん、受け手側の意識の変化も大きいでしょう。ひとむかし前だったらスルーされていたであろう内容について、真剣に怒る人たちが増えた。声を上げる人たちが出て来たということです。これを「めんどくさい時代になったな」と考える人もいるでしょうが、基本的には私は良い傾向だと思っています。#Kutoo とか、めちゃくちゃ叩かれてましたが、航空会社がヒール廃止したりと、確かに世の中を動かして、女性たちが理不尽な決まり事から解放されました。(それにしても未だに「Kutoo」って検索欄に入れると、醜悪な罵詈雑言の数々が並んで暗澹となります)


しかし。

しかしですよ。


そんな世の流れ、そしてネットやソーシャルメディアが諸刃の刃だってことが周知の事実になる中で、どうしてこうも各企業はやらかすのか。どうして他社の事例から学ばないのか。

不思議すぎます。


松井さんも書いていましたが、ひとつには、経営陣(おそらくおっさん、じいさんと思われる)が、ソーシャルメディアの危険性に無頓着である可能性が高い。何しろ新しいツールなので、前例がなく、その影響力もよくわかっていない。ついでに、アツギやタカラトミーのように、担当者自身も、自分がどれだけの責任を背負っているのか自覚していないケースが多いという可能性。

炎上しているのは何もソーシャルメディアだけではなく、おそらく何重ものプロセスの中で、何十人、もしくはそれ以上の人々が関わっているであろう広告案件でも、世に放たれた途端に派手に爆発炎上するケースがありました。

↑のツイッター画像でいうと、香川県とか宮城県案件などは、いかにも田舎のオッサンたちが数人でスケベ顔で「グヘへへ」「壇蜜いいよねえ」とか笑い合いながら決めちまったんだろうな、という想像しかできません。サントリーも大方そんなところでしょう。

そう、おそらくですが、世の炎上案件って、時世を読めていない、昭和の精神のまま今を生きるオッサン、オジイチャンたちが内輪ノリのまま作り上げてしまったのではないかなと思うのです。その場にいた若者、女性たちがたとえ、「うわぁ…」と思っても、指摘できない空気があったのだろうと容易に想像できてしまいます。最悪の場合、その場に若者も女性もいなかった可能性もあります。

(もちろん、そのへんの意識の違いは、決して年齢や性別だけで生まれるわけではないですが)

そこまで酷くなくても、尖った最先端の広告を狙ったつもりが、不発どころか爆発大炎上してしまうケースも多々あります。

花王が「ちょうどいいブス」というフレーズで炎上したのも然り。

上の画像には載っていませんが、おそらく多くの女性が関わったと思われる女性誌 Domaniは、「働く女は、結局中身、オスである」「“ママに見えない”が最高のほめ言葉」といったコピーでプチ炎上。

同じく女性向けのコスメ雑誌、VOCEはオンライン記事の「女の市場価値はいくつまで?『男は普通の27歳と美人の33歳、どっちと付き合いたい?』」という見出しで見事に不時着、その後炎上。

このへんは「大げさに騒ぎすぎ」と思う層もいるかもしれません。が、これは先日のアツギやタカラトミーの件と同じで、マーケティングとしても大失敗と言えると思います。なぜなら、見事なまでに、ターゲット層の怒りをきれいに買ってしまったからです。なぜ、己の購買層に真っ向からケンカを売るのだ。本当に不思議です。

アツギの広報担当は女性だったし、DomaniやVOCEだって、おそらく多くの女性が関わって世に送り出したコピー、記事だったはずです。なのにどうしてこんな失態をおかしてしまったのか。

このへんはまだよくわからないのですが、やはり時流を読めていない、というのはあるかもしれません。「ちょうどいいブス、面白いねえ!」「ママに見えないって言われると嬉しい」、「そりゃやっぱり女は若い方がモテるよね」と受け止めてくれる層ももちろんいるでしょう。もしかしたらそちらの方が多いかもしれません。が、今の時代、「いつまでそんなこと言ってんの?」「ルッキズムとかエイジズムとか、もういい加減にしろ」と怒りを感じる層も着実に増えてきているのです。

このへんを見誤ってる気がします。

ネット上で何か批判が起こると「嫌なら見るな」という言説が投げかけられますが、広告の場合、「嫌だから目に入れない」ということは結構難しいです。ていうか、広告に限らず、「嫌なら見るな」が通じることって実は結構少ないと思っています。(それはまた別の機会に)

アツギの件などは今までの購買層が「もう買わない」「捨てる」とまで言い出してしまったわけで、やはりあれは歴史に残る大炎上、というよりはむしろ、鮮やかすぎるほどのマーケティングの大失敗だったと思います。株価にまで影響出るとか、本当に怖いですな。


なんかダラダラと長くなってしまったので、このへんでやめておきますが、最後にこれだけ。広告でもお笑い番組でも、「アレは駄目これは駄目で、何もかも規制してしまったら面白いものが出てこなくなる」という人が結構います。

が、それは否定しておきたい。カナダに住んでいる身としては、テレビCMなど見ていて、もちろん完璧ではないにせよ、かなりいろんな面で配慮がなされているなと感じます。問題だと感じる描写もほとんどありません。多種多様な文化を持つ、様々な人種、ジェンダーの人々が暮らすカナダでできて、日本でできないわけがないと思います。

企業も個人も、今まで以上に注意深く、時流を読むセンスが必要なのではないかなあと。自戒も込めて…


というわけで、今日はこのへんで!





 

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