留学エージェントにマジギレされて人生遠回りした話
35歳の時に、かつて5年勤めた会社のリストラ対象となり、傷心だったわたくしは、まとまった額の退職金も出るし、せっかくだからこの機会に留学でもすべーと思い、某超有名留学エージェントに予約を取りました。といってもまだ退職前のタイミングで、このときは普通に1年ぐらいの語学留学を考えていました。
で、当日、新宿?だったと思うのですが、エージェントのオフィスに赴き、少々待ったのちに現れたのは同年代かちょっと年上とおぼしき女性。
ブースに移動し、つらつらと話し始めるわたくし。
会社のリストラに引っ掛かり、近々退職しようかと思っていること。
いろいろ考えて英語ができないと先々不安であること。
ちょいとまとまったお金と時間が手に入るので、留学を思い立ったこと。
などなど、はっきり言って、留学の相談とは関係ない内容ばかり。
しかし彼女はプロなので、うんうんなるほど、わかりますわかりますと根気よく聞いてくれた
聞いてくれたのだ。
が、ここでまさかの展開に。
なんと彼女は、私に留学の説明をすることを拒否
いや、それはちょっと大げさなんだけども。でもマジです。
「退職する前に転職活動をすべきです!まだ時間があるならしてください!今、私はあなたに留学のお話をすることはできません!」と、途中ほとんどキレ気味に訴えるではないか。
予想外の展開と、彼女の勢いに思いっきり圧倒されるわたくし。
彼女もまた、私と同い年くらいの時期に転職活動をして、大変な苦労をしたという。そんな苦労人の彼女から見たら、わたくしは鈍器で100発ぶっ叩いても足りないくらいのお気楽ボンクラ野郎に見えたのであろう。 必死で転職活動して、それでもダメだったら改めて留学を考えてくださいと説得されたのでありました。
で、純粋で素直なわたくしは、「そうか~、そうだよな~」と納得し、留学計画を脇に置いて転職活動を始めたのです。アホですよ、ホント。
で、一社見事に正社員で決まって無事、リストラののち働き始めたのだが、これがまたとんでもねえ会社で、結局試用期間で退職することに。履歴書に致命的なダメージとなり、私のアウトロー人生が始める転機となる… のだが、これはまた別のお話。
でもその当時、私は感動したのですよ、彼女の真摯さに。
自分の仕事を後回しにしてでも「このアホをなんとかせねば!」と思って、必死に説得してくれたのですから。この話を周囲の人たちにしたときも、みんな「いい人だね!そんなエージェントいないよ!」と称賛していました。
しかし。
彼女のアドバイスを聞いた私は、その後、転職した会社を3か月で辞めることになり、派遣としてフラフラ定まらない生活をすることになったわけです。
(もちろん決断したのは私なので、彼女がどうこうという話ではありません)
あの時に語学留学してたとしたって、その後どうなっていたか、正直たかがしれていると今なら思います。きっと留学前とたいして何も変わらず、普通に帰国して、しょうもない会社の正社員か、もしくは同じように派遣社員として暮らしていた気がします。
だけど、なんていうかな。
リストラ対象になったときに、私がいろいろ相談していた相手って、今思えば皆、(そのエージェントの女性含めて)「会社員」だったんです。
誰一人として、フリーランスとか無職とか、自分でビジネスやってる人とか、そういう人がいなかったんです。
特に多かったのは、その会社に新卒で入って、そのまま何十年と働いてきたような人たち。
そういう人たちに相談すれば、そりゃ留学なんてバカじゃないのと言われたり(実際に、最悪の発想だねとも言われた)、目を覚ましてちゃんと転職しろと言われるに決まってるんです。
でもその当時は、そういう人達しか周りにいなかったし、何もおかしいとは思わなかった。おかしいのは自分だと思っていました。
で、そういう人たちのいう言葉を聞いて、転職したけど、結局失敗したわけです。なぜなら、私が向かっていきたい理想の生活と、彼らがイメージする理想の生活が違っていたから。
事実、無事ブランクなく転職できたものの、そのクソみたいな会社で、毎日のように「正社員で入れたけど、私はこれから何十年と、ここでずっと人生を過ごすのか。いや、絶対間違ってる」と強く感じていました。
でも、回りまわって、結局アラフォーになった今、こうしてカナダで暮らしているわけで、なるようになったともいえます。
あの時の決断の一つ一つが間違っていたのか、それともベストだったのかは今も分かりません。
しかし後になって思ったのが、アドバイスを求めるなら、自分が理想だと思う人生を送っている人に聞くべきだということです。
海外に住んでみたい、留学してみたい、と思った私が、日本国内でずっと会社員やってきた人たちに意見を求めたって、有用な助言が得られるはずがないのです。もちろんそれはその人たちがどうって話ではなく、彼らは彼らなりに、ベストだと思う道を、真剣に考えてくれました。
でも、残念ながら、私はそもそも聞く相手を間違えていたのです。せめて、仕事を辞めて社会人留学をしたことのある人に意見を聞くべきだった。でもそういう人も私の周囲にはいませんでした… (会社の研修員として海外に長期で行っていた人はいた… けどもうレベルが違いすぎる…)
(って何よりも悔やまれるのが、即転職してしまったために、失業保険をもらわなかったことだ!会社都合だったから、待期期間なしでもらえたのに!バカ!)
まーゴチャゴチャ書いてきましたが、ホントに何が正解だったのか今もって分かりません。
だからタイトルには「遠回りした」と書きましたが、もしかしたらこれが私の最短ルートだったのかもしれないし…(要領悪すぎて泣くわ)
まあ、結論としては…
その時ベストだと思うことをやるしかない
ってことですかね…(しょーもな!)