もしかしてカナダの教育はヤバいのではないか?と危惧した話
先日、お師匠こと松井博さんがこんな記事を書いておりました。有料マガジンなので、購読者ではない方は途中までしか読めないのですが、タイトルの通り、「自尊心を高めるって、本当にそんなに大事なことなのか?」という内容です。いや、もちろん大事なんですが、どうも昨今、子供の自尊心を育てることばかりが優先されていて、それによる弊害はないのか?という話。
で、これを読んでわたくしは、即座に膝をポンポンポンと叩き、「それな!ホントそれな!」とうなづきまくったのです。なぜか。
その理由は、まさに今の職場において、(そして今思い出すとカレッジでも)、自尊心が高すぎる(そしてそれに対して能力が絶望的に追いついていない)人々に翻弄されたからである!
実はこのテーマについて以前、書こうと思ったのです。しかし、切り口および着地点がうまいこと見つけられず(って全部やないかい)、そのまま書かずに放置していたのです。が、昨日、お師匠の note を見て、せやせや、そういうことだわ!と腑に落ちて、本日これを書くに至ったわけです。といっても結局きれいにまとめられないんですが…
前回書こうと思ったときのきっかけというのは、カナダに住む知人(子持ち)と、カナダの教育について話した内容なんですが、要するに「カナダの教育は、何かつーと "You're great!!" "That's a good question!!' とか言って、とにかく褒める」と。
これは私も過去にカレッジの経験として書いたことがあるし、すばらしいな、と思っていました。いや、今も思っています。
が、その知人いわく、たとえばスポーツチームでの練習試合なんかにおいても、どんなアホなミスや致命的なプレイをやらかしても、コーチ?や親たちは "Good job!!""Nice try!!" とか言って讃えるらしいのです。「あれじゃ絶対にうまくならない!」と、その知人は憤慨して話しておりました。
わたくしはスポーツ教育?については何の素養もありませんので、その話題に関しては、「うーん、なるほど…」以外の感想は無かったんですが、話がカナダの教育、ひいては当店のカナダ人スタッフたちへと話題が移るにつれ、「マジで、それな!」と、強く納得せざるを得なかったのです。
(ちなみにこの知人は子供の教育のためにカナダにやってきたのですが、その後、子供を公立から私立に転校させておりました…)
つまり、とにかくカナダの教育は褒める。子供の自己肯定感を伸ばして伸ばして伸ばしまくる!素晴らしい!駄菓子菓子!!!その結果、どんな人間が出来上がるのか?
その一端を、当店のカナダ人スタッフたちが体現して見せてくれたのであります。
例1:例のキレ辞めしたカナダ人スタッフ
以前書いたこちらのブログでもさんざん述べました通り、仕事は遅いわ気は利かねえわ盛り付けは雑だわで実に微妙すぎたこちらの元キッチンスタッフ。
しかしそんな彼は、残念ながら(?)ものすごーく自信とプライドを持っており、私や他のサーバーが盛り付けをやり直したりすると「何がダメなんだ」とか言ってきてかなりめんどくさかった。
そして勤務態度について注意を受けた際には、ものすごい長い言い訳メールを送ってきたらしい(さらにはそれが全部文字化けして迷惑メールと思われて無視され、本人激おこという悲しい顛末)。そして最後には職場で細かいことをいろいろ注意されたところ、逆ギレして退職に至るというね…
私も飲食店の経験(特にカナダで)がろくにあるわけではないが、どう考えても彼のレベルはプロとしてのそれに達してはおらず、普通のレストランだったらとっくにクビになっていてもおかしくない程度だったと思う… それでも彼のプライドと自信は天の如しでございました。
例2:↑のスタッフが霞んでしまうほどの超絶勘違いクソバカ野郎
なんでいきなりこんなに罵倒しているのかというと、個人的にものすごくムカついていた(今も)からです。こいつはキッチンではなくサーバーポジションにいったんですが、ある日、ついに私ともう一人のスタッフがキレてオーナーに訴え、干させました。
この男はもう、「カナダの教育のダメなところを凝縮して煮詰めて結晶化したようなダメサンプル」でしたね。
(こいつの悪行について書いていたら長くなってしまったので割愛)
こいつの特に何が酷かったかというと、「オレの仕事はお客を楽しませることだ」と信じて疑わず、サーバーの仕事よりも、お客とのお喋りを常に優先していたこと。オーナーがどんなに「お客は食事を楽しみにきてるんだから過度に話して邪魔するな」と言おうが、はたまたレビューで「うるさいサーバーがいる」と書かれようが、そんなことには一切お構いなし。強い。鋼のメンタルである。
しかももう呆れを通り越して笑ってしまったのは、「お客はオレに会いに来ている」「オレが辞めたらほとんどの客は次の店に引っ張っていく」とか言っていたらしい!怖い!
自己肯定感もここまでくると病的である。もはや妄想以外の何物でもない。
(ちなみに現実世界では、彼が干されても店には1ナノミクロンの影響もないどころか、業績は今までになく好調で、お客から彼の名前が出たことすらありません)
というわけで、はっきり言ってカナダで生まれ、カナダで育った人間に、ろくなサンプルがいないのである。一生懸命働いて大事な戦力になってくれたり、有能でスマートに店を回してくれるのは、どういうわけかみんな移民系のスタッフなのである。
そんな現実を目の当たりにした私と件の知人は、「もしかしてカナダの教育はヤバいのではないか」という結論に着地しそうになったのですが、しかし冷静に考えてみれば、まず間違いなく本人の幸福度は高い。(ここでも知人は「そうとも言い切れない」と述べておりましたが…)
翻って日本はどうかというと、まあ少しずつ変わってきているのだとは思いますが、それでも尚、ヘンな校則で個性をぶっ潰したり、人と違うことを言ったりやったりすれば笑われ、たしなめられ… 「上の言うことに意義を唱えずおとなしく従う」「個性を殺してでもみんなと同じ」を求められる状況かなあと。
めちゃくちゃ乱暴な言い方をすれば、カナダの教育(主語がでかい)はとにかく褒めて褒めて自尊心を高める。そして幸せなアホが育つ。日本の教育は個性を潰し、権威に従うことを是とする。能力があったとしても他の人たちから抜きん出ることは好まれず、鬱屈した人間が育つ。
いや、乱暴すぎますね、すみません。
しかし身近なこの二人の例を見ていると、お師匠が記事の中で言っていた通り、「何もできないくせに自尊心だけ一丁前のナルシスト」が量産され続けているのでは… と、ちょっと心配になったといいますか。
向上心とか、謙虚な気持ちがカケラもない彼らと働くのは本当に骨が折れましたし、結局二人とも仕事を失うオチになっているので、多分、長い目で考えると本人たちのためにもなっていないような。
結局、どっちに偏り過ぎてもダメなんだろうな、と思います。
自尊心は大事だし、大切に伸ばしていく必要はあるけど、それだけじゃ多分、おめでたいアホが量産されるだけの危険があるので、やはり挫折したり、その上で努力を重ねてハードルを乗り越えるとか、別のことで自信を持つとか、丁寧なプロセスが必要なんだろうと思います。
っていろいろ書いてきましたが、私はカナダでも日本でも教育関連の知識は皆無なのと、結局私の半径3mくらいことしか書いてませんので、結局は個人の感想に他ならないんですが…
それでもまあ、日本よりはカナダの方が良いのかなあ…