ハリケーン直撃
ドタバタの転職→怒涛のプー生活開始で、やっとこさ少しのんびりできると思ったところに、自分史上最悪の災害が降りかかりました。ご存知の方も多いかと思いますが、先週、カナダ東部を大規模なハリケーンが襲い、わたくしが暮らすこの僻地の村(ではないが…)にも甚大な被害をもたらしました。幸い、死傷者はさほど出なかったようなのですが、個人的にも、そして多くの人を疲弊させたのが、長い停電の日々でした…
停電て、わたくしの幼少期にはわりと起こりがちなことだったと記憶しているのですが、ここ数十年来、ほとんど記憶になく。今回のハリケーンが来る前にも、停電に備えよとしきりに喧伝されてはいたのですが、正直わたくしはナメておったのです。
なぜなら、当地に越してきて3年、今回のような晩夏のハリケーンやら、冬のスノーストーム、そして突発的な謎の停電というのは幾度となく起きていたのですが、そのたびに我が家は運良くババを引くことなく切り抜けてきたのです。
そして、停電が起こったとしても、1日2日のことだったので、まー、大丈夫っしょ!と、タカをくくっていたのです。
念のため、パンを買っておいたり米を炊いておいたりはしたものの、そこまで停電が長引くとは思っておらず、ヘリケーンの夜に停電した瞬間も「はいはい寝ましょ寝ましょ」と余裕ぶっこいておりました。
で、最初の1~2日は余裕なんですよ。買い置きしてあったビールやワインなどを飲みつつ、珍しく読書などして優雅に過ごしておりました。いつもはめんどくさくて大嫌いな風呂に入らなくていいのもラッキー♪くらいの気持ちで、グータラ過ごすことが正当化され、完全に怠惰ライフをエンジョイしておりました。
が、次第につらくなってきたのが、3~4日目。罰当たりな言い方ですが、飽きてくる。そしてスマホのバッテリーが切れ、何の情報も入らなくなる。さらに、一部地域では電気が復旧し、そこで充電したり食べ物を買ったりできる有難さはあったものの、数日間風呂も入れず、暗闇でウツウツと暮らす自分がだんだん惨めに思えてくる。
特に、復旧する直前の4日目の夜が一番メンタル的にヤバかったです。かなり病んでいたと思う。
私たちはこれでもかなりラッキーな方で、一週間経った今でも、停電したままのエリアに住んでいる友達がいます。
なので、自分は煌々と明るい部屋でのんきにスマホいじってツイッター徘徊してたり、好きなものを料理して、あったかいお茶飲んでたりすると、時折ものすごい罪悪感に襲われます。
あと、これは私だけかもしれないんですが、パンデミックの真っ只中にも感じた無力感、自己嫌悪に再びさいなまれました。
というのは、困難な状況の中でもコミュニティのために精力的に働き続ける人たちを見ていると、もうホントに自分は役立たずの穀潰しだな… みたいな気持ちになってくるのです。ハリケーンで倒れた木をチェーンソーで切って処分したり、散らばった木々の残骸を片付ける人、無料で食事を振舞うレストラン、真夜中でも作業を続ける電力会社のクルー…
そういう人たちを見てると、ホントに自分は何にもできないつまらん人間だな…(しかも無職だし…)みたいな気持ちに襲われて、それがまたさらに憂鬱な気持ちに拍車をかけるんですよね… そんなこと思っても仕方ないのにね。
今は電気も復旧して、やっと気持ちも落ち着いてきたので、こうしてブログも書けて、当時の自分のメンタルのヤバさを客観視できますが、災害ってこんなふうに人の心を抉ってくるんだな… ということが分かりました。自分も身の周りも無傷で、家も無事だというのに!
これで更に家が損壊したり、ビジネスがダメになったり、自分や身内が負傷とかしてたらと思うと、とてもとてもいたたまれない気持ちになります。
で、ヤバかったときに心の慰めになったのは、私の場合、大家さんが飼っているネッコでした。我が家のネッコは、ハリケーンで外から恐ろしいほどの風の音がしていようが、激しい雨が叩きつけようが、グースカのんきに寝ており、さらに停電になろうが、電気が復旧しようが、まったくなんの変化もなく、通常運転。
なんか、その泰然自若とした様に、心底癒されたし、笑わせてもらいました。
ネッコがいて良かったな… と(毎日思ってるけど)改めてしみじみと思いました。
そして実際的なところで学んだことを書くと…
①コメは大量に炊いておけ!冷蔵庫、冷凍庫の中の物も、できうる限り全部料理しておけ!
(ただし、地域や季節、気候によっては傷んでしまうので要注意)
②充電できるものは何でもかんでもとにかくマックスまで充電しておけ!
③カセットコンロ、モバイルバッテリーを買っておけ!(私はモバイルバッテリーというものを必要としたことがなかったのですが、これに懲りて買おうと思います)
④お湯も電気ケトルマックスに沸かしておけ!(あったかいものが一切摂れなくて悲しかった)(まあすぐに冷めちゃうとは思うけど)
⑤電池で動くものは神!(懐中電灯はもちろん、電池で使えるフェイクのキャンドルが大活躍。時計も電池で動くものがないと詰む。)
そして今回の停電でつくづく痛感したのが
⑥スマホのバッテリー、もしくはWiFiが切れると全て終わる
ということでした。
普段、いかにスマホに何もかも頼っているのかということを改めて思い知らされましたね… 時間、天気、州やコミュニティのアナウンスや情報、友達との連絡、ニュース、何一つわからなくなります…
(ラジオはかろうじて使えたんですが、常にハリケーンについての情報を発信しているわけではなかった…)
パソコンやタブレットも充電しておいたんですが(上に書いたことと多少矛盾しますが)、結局WiFiもしくはスマホ自体のバッテリーが死ぬと、デザリングもできないので、ほとんど役に立たなくなります。(簡単なゲームとか、あらかじめダウンロードしておいた音楽、動画は視聴できるが…)
あとは、もう最近は夕方になると日が暮れて暗くなってしまうので、マジでやることが何にもない。本を読んだり何か作業系も、暗くてできない。ネッコをモフモフするくらい。最初は喜んで飲んでた酒もぬるいし、つまみもないし、気分的にも美味しくない。
食べ物も、パンとかハムとかツナみたいなものに偏っていくのでだんだん食べる気が失せてきます(お湯さえ沸かせれば!と、インスタント麺のストックを見て何度ほぞを嚙んだことか!)3日目に、再開してた中華レストランでテイクアウトしたチャーハンと餃子には本当に救われました…!
といっても、発電機(ジェネレーター)を持っている家だと、もうちょっとマシだとは思うんですが、それはそれで今度、ガソリンを買うのに長時間並んだりとか、別の苦労がありますよね…
すみません、ダラダラダラダラ書いて長くなってしまいました。
もうこんな経験は二度としたくないですね… でも、気候変動の影響で同じようなことがこれから何度も起こりうるし、家が損壊したり、もっとひどい目に遭う可能性もあるんですよね…
とりあえず今回学んだことを糧に、カセットコンロとモバイルバッテリーを準備して、いついかなる時も、心を強く持ちたいと思います。
長々と読んで頂き、ありがとうございました。