電車で見かける不気味な広告の正体
時々電車で見かける謎の広告が気になっていた。
といっても、京成線のアレではない。み○ず学苑主宰者の、あの方の広告のことではない。
山手線等でもおそらく見ると思う、「血管がどーの」とか、そんな類の、健康関係の広告である。「こんな症状はありませんか?」とか、「こんな現象が気になったら病院へ行こう」的な類のものである。
最初はボーっと見ているだけで、たいして気にしていなかったのだが、ある日ふと気づいた。
それが、いったい何の広告なのか分からないのだ。
最初はあやしげなサプリメントとかを売りたい業者の宣伝なのかと思ったのだが、商品名もいっさい書かれておらず、それどころか社名すら書かれていない。サン○ーク出版系でもない。
なにせ、「こういう症状には、こういう成分が効く」みたいなことは書いてあるのだが、具体的な治療法や薬の名前、病院の名前などはもとより、広告主の名前すら見当たらないのである。
病院とかに貼ってある「健康週間なんちゃら」とか、そういうのとも違う。
なんだこれ?
なんなんだ?と気になる日々が続いた。
こんな、何を売りたいのか、誰が宣伝しているのか分からない広告を電車に貼り出して、一体誰に得があるのか?目的がなんなのか分からない広告なんて、結構気味が悪いな…と思って、考えてみた。
そして、思い当たったのは、おそらく、製薬会社が広告を打っているのではなかろうかと。
「こんな病気がありますよ」「こんな症状がありませんか?」と不安を煽って、人々を病院に向かわせる。そして、医師に薬を処方させる。病院単体が広告を打つなんてありえないし、医療団体(?)が広告を出すというのもちょっと無理がある。そもそも、それだったらちゃんと、広告主の名前が書かれているはずだし。
製薬会社なら、資金は潤沢にあるし、名前や具体的な薬の名前を出さずとも、広告を打つくらいの余裕はあるだろう。
と、根拠もなく推理していたところ、それを裏付けるようなネット記事を、某週刊○代のサイトで見つけた。
それを見て知ったのだが、日本では、処方薬(医師が処方する薬)の広告を出すことは禁じられているらしい。しかし、製薬会社はその薬を売りたい。どうするか。その病気自体を、大々的に広告するのだ。それを「疾患喧伝」と呼ぶそうな。この言葉でググると、いろいろ知らなかった情報が出てくるので、興味がある人は一度見てみると良いかもしれない。
もちろん疾患喧伝そのものに問題があるかというと、そうとは言い切れない。広告を見て診察を受けて、それが病気の発見や治療につながるのなら、それはとてもラッキーだし、歓迎すべき話だと思う。
しかし怖いのは、製薬会社が薬を売りたいがために、新たに作り出された病気があるということだ。私もまったく詳しくないので、真偽は定かではないけども、上記の記事によれば、それはたとえば、最近よく聞く「逆流性食道炎」などが、それにあたるとのこと。
昔は単純に「胸やけ」と呼ばれていたものに、仰々しい名前がついて、いつのまにか病院で診断を仰ぎ、薬を処方されるような「病気」になっていたという。
うーん、そうなのか。
本来、薬を処方する必要のない症状にまで病名が付けられて、それが大々的に広められているとしたら、それは結構怖いことのように思う。
なんだか世の中の闇を見るような事象だが、確かにあの、広告主の分からない、そして何の宣伝なのか分からない、不気味なポスターを見ていると、単純に、ああ怖いなあと思わされる。
かといって、私たちはどうしたらいいのか。
良心的なお医者さんを見つけるくらいしか、手立てはないのだろうか。そもそも、そんなお医者さんはどうやったら見つけられるのだろう。
あとは、薬に対する正しい知識を身につけることか。
やっぱり、何事においても、きちんと調べて、情報を取捨選択しないとヤバい時代なのだなあ。