同僚から聞いた面白い実話
だいぶサボってしまいました。
特に毎日何の変化もなく、穏やかに過ぎ去ってゆきます。
相変わらず仕事はヒマで苦しいのですが、そんな中で同僚から聞いたちょっと面白い話を書いておきます。
地方のとある工場に、それはそれは優しくて親切で、誰からも好かれているアラフィフのおっさんがおったそうな。急な依頼にもイヤな顔ひとつせず、迅速に対応してくれる上に、定期的になぜかその地方特産のお菓子を本社に送ってくれるほどの好人物であったそうな。
そんなおっさんにも唯一の弱点があり、それは、生まれてこの方、女性や恋愛といったものにまったく無縁であったそうな。奥手で恥ずかしがり屋のおっさんゆえ、きっとなかなかそういっためぐり合わせに縁がなかったのじゃろう。
そんなある日、おっさんが、花嫁紹介サイトに登録したという。
幾ら払ったのかは定かではあらねど(突然の平安朝)、おっさんは20代とおぼしき、それはそれは美しい中国人のおなごを紹介されたそうな。
電話で話した彼女は、驚くことに日本語がペラペラで、気立てもよく、何よりも美しい。
おっさんは嬉々として彼女の写真を職場の人々に見せ、皆も、良かった良かったと喜んだそうな。
そしてついに花嫁が某セントレア空港に降り立ち、おっさんはいそいそとお迎えに向かったという。
いざいざ、と到着フロアーで対面したその花嫁は、
…写真とは似ても似つかぬ、おっさんと同世代としか思えぬ地味なオバハンであったという…
しかもオバハンは日本語がいっさい話せない様子。
完全な詐欺です。どうもありがとうございました。
固まる二人。
きっとオバハンの方も、イケメン日本人の写真でも見せられ、「お金持ちのもとに嫁いでいい暮らしができる」などと吹き込まれ、大金はたいて故郷をあとにしてきたのではなかろうか。
しかしこれはどうしたものか。
おっさんは逡巡した。
普通の人ならばここで激怒して、訴訟の算段など考えながら踵を返し、空港を足早にあとにするところであろう。
だが、このおっさんは違った。
「困ったなあ」などと言いつつ、とにもかくにも、このオバハンを連れ帰ったのだという。
そして、二人はいつまでもいつまでも、仲睦まじく暮らしましたとさ…
凄くないですか?
実話ですよ、実話。
例の特産銘菓を分けてもらいながら、「えっ、それ何年前の話?」と聞いたところ、同僚いわく、「2~3年前かなあ」と。
「困ったなあ」でとりあえず連れ帰って、そのまま一緒に暮らし始め、はや2~3年!
めっちゃエエ話やないの…と感動してしまったが、そういう問題ではないですね。
そういうカップル(?)が、他にも数え切れぬほどいるのだろうか…
オバハンの方だって、ほとんど騙されて日本に来てしまっているのだから、これでもしおっさんが「オマエなんか知らんがな!」と見捨ててしまったら、路頭に迷って下手したら不法移民として、日本をさまよい歩くことになっていたのかもしれぬ。
優しいおっさんで、この女性は幸運であった。
なんか、結婚とは何だろう、としみじみ考える一件でございました。
ちなみに特産銘菓は、なぜかバッタを模した巨大なモナカで、見た目はアレでしたが、普通においしゅうございました。