カナダの接客業ってどうなの?


なんとまあ、ボサッとしていたら前回のブログから一ヶ月も経過してしまいました。永住権絡みとか仕事のことやらで悩み多き時期だったのと、何よりもブログネタが浮かんでこず、気が付いたらこんなにも時が経ってしまっていたというのが実情です。

で、このままではいかん!ということで、ツイッターの方でブログネタのアイディアを募集させて頂いたところ、有難いことにいくつかリプライを頂けました。
その一つが、note でめちゃくちゃ有益な記事を日々投稿されている小保下グミさんからのご提案で、「カナダの接客業ってどうなの?」という内容についてちょっと書いてみたいと思います。


まず最初に申し上げておきますと、実際に頂いたリプライはそんな雑な代物ではなくてですね、「(カナダの)接客サービスの話を聞きたいです。日本では安くて手厚いおもてなしに疲弊している人が多いし、飲食は特に社会的地位も低く見られがちです。カナダではどうなのかなあと気になります。」という内容でした。

奇しくも先日、日本では「底辺の仕事ランキング」なるものが炎上騒ぎを巻き起こしておりましたが、その中にもバッチリ「飲食店スタッフ」と書かれていましたので、非常にタイムリーなトピックではないかと思います。
(ちなみに例のランキングリストを見て思ったのは、「むしろこれ全部、エッセンシャルワーカーではないか」ということでした。「もっと給料もらわないとおかしい職業ランキングだ」的なことをツイートしている人もいて、本当にその通りだなあと)

そんなわけで、わたくしの狭い知見ながらも、飲食業を始めとしたカナダの接客業について、書いていってみようと思います。


①カナダの接客サービス従事者は疲弊しているか?

ハイ、まずこの点から。
まあ予想通りとは思うのですが、カナダでは日常生活において、基本的には日本のような手厚いサービスというのは期待できません、というか誰も最初から求めておりません
有名な話ではありますが、郵便物の遅延、紛失は珍しいことではないですし、業者を呼んでも時間通りに来ない、ファストフードでテイクアウトすれば頼んだものが入ってない、スーパーで卵を買うときは、割れていないかパッケージを開けて中身を確かめるのが当たり前。そういう世界です。
というか、日本のサービスが手厚すぎるだけで、他の国もみんなこんな感じが普通なのかなと。それに対してガーガー文句を言う人もほぼいないと思います。

もちろん一流ホテル、一流レストランに行けば、相応のサービスを受けることはできると思いますが、その場合は当然、お客側にも相応のマナーが求められるかと。
要は、予算をケチらず、その場に相応しい服装、立ち居振る舞いができ、そして気前よくチップを弾む等。
日本の場合、お店のレベルに関わらず、いつどこへ行っても笑顔の店員さんが親切丁寧に接してくれますが、カナダの場合は、相応の場所で、相応のお金を払って、相応のお客になることによって初めて、手厚いサービスが受けられるという構図になっていると思います。

働く側からしてもこれは理にかなっているのではないかなと。ファストフードチェーンなどでは最低限のスタンダードを満たしていれば良し、しかし時給は低く、チップもほぼ期待できない。一方で、カレッジなどでホスピタリティを専門的に学び、ハイクラスのレストランなどでプロフェッショナルとしてのサービスを提供すれば、高時給に潤沢なチップが期待できると。

ですから、日本のように、客単価の低いお店で薄給で働いているにも関わらず、高いサービスレベルを要求されたり、クレーマーに悩まされるといったことはだいぶ少ないと思います。そういった意味では、そういったプレッシャーやストレスによって疲弊しているサービス業従事者は少ないのではないかなと。

(というか、サービス業に関わらず、疲弊するまで一生懸命働く人が少ないw
もしかしたら都会だともっと向上心あふれる人々が切磋琢磨して労働に勤しんでいるのかもしれませんが、なんとなく私の周りを見ていると、仕事に入れ込んでいるという人は少なく、それよりも家族と過ごす時間や趣味に、エネルギーや時間を割いている人が多い印象です。ここもお国柄の違いだなあと。)





②飲食店スタッフや、サービス業従事者の社会的地位は低い?

これも私の主観にはなってしまいますが、そもそもカナダでは日本のように、特定の職種を指して「勝ち組」「底辺職」みたいなことをおおっぴらに言うカルチャーはないように思います。
もしかしたら、人によっては心の中でそう思っていることはあるかもしれませんが、「自分はサーバーだから底辺だ」とか「電気工は負け組だ」なんて言っている人は一度も見かけたことがないです。そういえば、日本では定期的に公表される「人気企業ランキング」とか「子どもがなりたい職業」というのも見たことがない。(いや、探せばあるのかもしれないけど)

それどころか、いわゆるブルーカラーの職業でも、ヘタなオフィスワーカーよりはるかに高収入の人たちがいたり、今回のパンデミックでは、トラック運転手や、スーパーのレジ係、薬局のスタッフなどが、医療職の人たちと並んで「エッセンシャルワーカー(私たちの生活にとって欠かせない仕事をしてくれている人たち)」として讃えられていました。たとえそれが、学生がアルバイトでやるような、特別なスキルの要らない仕事であっても、「生活に必要不可欠な存在」「一つの立派な職業」として、きちんとリスペクトされる雰囲気が(少なくとも日本よりは)あるのではないかと。

確かにファストフードの店員や清掃業、季節労働者(農作業や工事の手伝いなど)には、永住権目当ての留学生や、短期のワークビザで出稼ぎに来ている外国人労働者が多いというのも事実ですが、だからといってそれをおおっぴらに見下したり、バカにしたりする人は見たことも聞いたこともないです。(多分そういうことをしたら、その人こそが周りから軽蔑されると思います。)

かといって、「働いていれば立派だ」ということでもないのがミソで。
これは余談にはなりますが、職種がどうこう以前に、カナダでは(そして私が旅した他の国々でも)平日の真っ昼間に、いい年した大人がぶらぶらしてたり、公園でボーっとしてたりします。大学を出てもすぐには就職せず、海外を旅行して回ったり、せっかく仕事についても「合わない」とかで、サッサと辞めてしまう人も多い。転職を繰り返すのも別にヤバいことでも何でもないですし、全然畑違いの仕事にトライする人も多いです。
全てにおいて言えることですが、他人の生活や生き方に、余計な関心を抱いていないので、無職の人の肩身が狭いとか、どの仕事に就いてるからしょうもないとか、そういう評価軸が存在しないのかも。


と、つらつらと書いてきましたが、もちろんいいことばかりではなく、消費者としては「キー!」となることも多いです。が、そういうことがあっても「ま、人間のやることだから仕方ないよね」みたいな感じで許される雰囲気があります。

私も今のレストランで働き始めてから、お客さんたちが本当に優しくて寛容でビックリした記憶があります(というか、今でも本当に感謝しかない)。私も日本で接客業の仕事をしていたことがあるので、正直、お客さんの寛容度の差には驚きしかないです。本当に全然違います。(もちろん、キレるお客さんもたまにはいるし、レストランやホテルのレビューはカオスでとても面白いw)
日本のサービス業、接客業よりは、だいぶストレスフリーで働けていると思います。


ダラダラと長くなってしまった上に、まだまだ書ききれないことも多いのですが、頂いた内容について、少しでも面白く読んで頂けたら幸いです。
他にも何か、知りたいことや、こんなこと書いてみたら?というアイディアがありましたら、ぜひ教えてくださーい!





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